精油の種類の中には「禁忌」がある精油が存在します。
「禁忌」とは精油の特性により人体に悪影響を及ぼす可能性があるため、使用する際に守らなければいけない
事柄のことです。
「禁忌」という文字とか響きとか「なんか精油を使うのが怖いな」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。
「禁忌」があるから使えないということではなく、どのような人になら使えるのか、どのように使えば安全なのかを考えることが大切だと考えています。
私の経験から言いますと、精油の禁忌はとにかく試験のために必死に覚えたので「なぜ禁忌なのか?」の理解が薄く、
試験が終わってから暗記したものがスーッと抜け落ちてしまいました(汗)
禁忌は精油の成分に由来しますので、精油に含有されている成分の特性を知れば、なぜ禁忌なのかを理解することができます。
禁忌の中でもわかりやすいのは「皮膚刺激」と「光毒性」でしょうか。
私、どちらも人体実験をしたことがあります(笑)
フェノール類と芳香族アルデヒド類を多く含む精油を原液で皮膚塗布してみました。
どちらも皮膚刺激はありますが、特に芳香族アルデヒド類を含む精油は、悶絶するほど皮膚がヒリヒリとしまして、
数時間赤みがひきませんでした。
光毒性の方は・・・ちょっと実験失敗なので再度挑戦してみたいと思っています(笑)
(人体実験をおすすめしているわけではありません)
皮膚刺激や光毒性は間違った使い方をすれば個人差なくどなたにも現れる現象だと思います。
ここからが本題です。(前置きが長かったですね・汗)
「禁忌」として「本当のところどうなんだろう?」と頭を悩ますのが
エストロゲン様作用
です。
特に私が大好きなクラリセージ精油のエストロゲン様作用です。
アロマを勉強した方なら
「クラリセージ精油に含まれるスクラレオールという成分がエストロゲンに類似しているため、ホルモン依存型の疾患
(子宮がん、乳がん、乳腺症、子宮筋腫など)を患ってる方には使用できません」
という禁忌で覚えたと思います。
私もこのように学んできたので「クラリセージ=エストロゲン様作用」とインプットされ、上記のような疾患をお持ちの方には使用できないんだな、でも、PMSとか更年期の症状で悩む方には使えそうだな、という風に理解してきました。
ただ、このスクラレオールという芳香分子。水蒸気蒸留法での精油にはほんの微量しか含まれていません。
「精油の安全性ガイド」によると
クラリセージのスクラレオールはアブソリュートでは70%以上含むが、水蒸気蒸留法の場合微量しか含まれず、
エストロゲン様作用については特に注意を必要としないとされている。
とあります。
さて、この一文をどう捉えるか??
確かに私も
・微量しか含まれないスクラレオールにそこまでの力があるのか
・エストロゲンに構造が似ているからと言って本当に同じような働きをするのか
・そもそも体内に入って作用するのか
などなど疑問が浮かび頭を悩ませています。このような疑問を唱える方もいらっしゃいます。
ですが・・・
・子宮筋腫がある時は大嫌いな香りだったのに摘出したら好きな香りになった
・クラリセージの香りを嗅いだら苦手な香りだった。その後の子宮がん検診で異常が見つかった
・今まで嫌いだったのに更年期を迎える頃に好きな香りに変化した
というような話も聞きました。
これは文字情報ではなく実体験からのお話です。
その人の本能が知らせてくれた情報です。
クラリセージ精油にはエストロゲン様作用があるかもしれないし、ないかもしれない。
エストロゲン様作用があるとするならば、禁忌が懸念される方には使用しなければ良いし、
ホルモンのバランスで苦しい方には使用すれば良い。
一番大事なのは「目の前の人がその香りが好きかどうか」ということでもあるし、
精油の禁忌や文字情報を人に当てはめるのではなく、目の前の人をしっかり観察して、
その方に寄り添った精油を提案することが大事なのではないかと思います。
私たちは本能で精油の香りを選びとっているのです。
それを文字情報だけで人におすすめしてしまうのはナンセンスですね。
精油の禁忌を知ることはとても大事なことです。
そしてそれを守ることも大事なことです。
ですが禁忌に振り回され過ぎてしまうのも、精油の可能性を狭めてしまうかもしれませんね。
もう一度言いますが、人を観察して精油を提案することを優先していきたいと私は思うのです。